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作品づくりへの想い

自分の手では
作り出せない
金属の領域

私は与えられた用途の中で
最も美しい金属のかたちを追求して
一つ一つのものを作ります。
道具もたくさん使って自分の手の感覚を頼りに、
思い描く美しいかたちを何度も修正しながら
じっくり作り上げます。

そうして完成した金属のかたちはずっと変わりませんが、
作りたての新品の輝きはいつまでも続かず、
いずれ自然現象によってさまざまな変化が起こってきます。
経年変化で金属にしか現れない特徴的なものが「錆」です。
錆はこちらの意図しないところでいつしか勝手に現れてきます。
長いこと金属に触れてきた実感から、
私は錆が美しいと感じています。
新品の輝きからは見つけられない、
自然を彷彿とさせる情景があるのです。

例えば銅の錆は緑青。深みのある湖のよう。
錫が錆びると御影石のような黒が鈍く輝きます。
ステンレスの錆は少しまだらで散った落ち葉のよう、
晩秋の森を想う。
鉄の赤い錆は長い時間をかけて
降り積もった地層を見るように。

そんな金属に起こる錆などの
自然に生まれる現象を大切にしています。
今よりもずっと先に
変わってさらに美しくなっていく
金属の姿を見つめた
ものづくりをしています。