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作品集 一点物

花器

角木 写

作品集 一点物

花器

角木 写

作品詳細

売約済み
素材:銅 仕上げ:緑青 サイズ:高215×タテ40×ヨコ40 重さ:0.4kg

古銅を写したもの

上下が反り返り銅の中央部で締まり帯を巻き四角い形をしています。
昔から仏器として使われていた形で、祈りとともに捧げる花を生けるので、どこか神聖な雰囲気を持ちます。

古銅は鋳物で作られているものがほとんどです。
鋳物の表面は光沢があり、シンメトリーな端正な美しさと見る者を跳ね返すような独特の緊張感があります。

私は同じ古銅を鍛金技術で再現したくて作りました。
銅板を同じ形に4枚切り出し曲げて、それぞれの角を弱く小さな溶接を100回以上繰り返して4枚の板を組み上げていきます。
溶接して丸くなった角を、棒やすりで削って鋭い印象の角を作っていきます。
そして帯を巻きます。
鋭い形の本体とは対照的に帯は分厚くゆったりと贅沢な形にしています。
帯の位置は全体の高さの半分より少し下につけて重心を下げて安定感を出しています。
そうすることで上に向かうかたちが強まり活けるお花も際立ちます。

最初から最後まで4面均等にずれなく作ることで出来上がる花器です。
機械で作るわけではないので非常に難しく、手で作っているので完璧にはいかないのですが、完璧を目指してそれでも出てきてしまうズレは見ていてとても美しく感じます。

花器のお取り扱い

作品は素材の質感、経年変化を大切にするために素地のままに近い仕上げになっております。
水を入れる内側に白く跡が残ったり緑青が出たりもしますが、それも水に反応して成熟を増した花器の美しさの一つです。
もし気になる場合はスポンジで水洗いしていただくと取ることもできます。

活けた花に霧吹きなどをする際も水滴の跡が残りますので、花器には手や紙などをかざしてかけます。底面も水気がありますと跡が付きやすいのできれいに拭き取って置いてください。

持ち運ぶ際、ハンドクリームなどで手に油が付いていると指紋跡が写りやすいです。手跡が残るのはあまり美しくありませんので、布でくるんだりして直接触れないように扱っていただけると安心です。

使い込んでいくうちに色味も暗くなり全体が徐々に変化していく様は、金属という素材の止めることのできない不思議で美しい現象のひとつです。
金属の花器はどんなものも変化していくことが前提とお考えいただきましてお使いください。